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作者:紫 はなな

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作:紫 はなな

おきつねさまとお目付け役

彼女の衣裳の裾を目に入れた人間は、己れの愚かさに涙する。 そう言わしめた雷鳴の中宮は、帝の寵愛を一身にうけていた。 玉藻姫が、大陸から渡ってくるまでは──。 帝の寵愛を奪われ、さらには玉藻姫に見下ろされる宴の席で不治の病をまかれた中宮は、その死の床で故郷の滅亡を聞かされた。 病の発端は中宮にあり、その根源である国を燃やし尽くさねばならない。 そう言って玉藻姫が、帝をそそのかしたのだと。 そして中宮自身も療養にと放り込まれたあばら屋で、同じ火にまかれながら、短い生涯を閉じた。  家臣たちだけでなく、故郷までまきこんだのだ、生まれかわれてもゴミ虫ていどだろうと思っていた中宮であったが、目が覚めるとまっしろなキツネ、ユキに転生していた。  生みの母、黄泉の神は疲れた顔をして言った。  玉藻姫の正体は、九尾の狐。彼女が皇后になってからというもの、嗜虐の限りを尽くし、黄泉は死者であふれ困っている。どうかお主の力で封じておくれ、と。  かくしてユキは、悪虐非道の玉藻姫と相対するその日のため。  お目付け役の見目麗しい少年コンと、その邸に棲む動物たちと暮らしながら、のんびりと生い育つのだった。 ※前半ほのぼの。中盤からグロ注意です。

更新:2022/2/8

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